小説

夏至・東京都三鷹市

「女の腐ったような奴だね、ほんと」 彼女の口から発されたそれが別れの言葉だとはすぐに理解したが、悲しみや悔しさよりもまず「なんて前時代的なんだろう」と思った自分を、どこか遠くから見つめていた気がした。まさか元号が変わってなおそんな女性蔑視に…

「玲瓏」

れいろう、という言葉を初めて目にしたときの感情は単純だった。きれいだなと思ったのだった。字面だけでは読めなくて、調べたら「玉などが透き通っているさま」だとか、「金属や玉がぶつかって冴えた音で鳴るさま」「音声が澄んで響くさま」と出ていて、意…