カウントダウン

 24歳になった。

 実感はない。というより今日が誕生日なのを忘れていた。

 正確に言うと、数日前から「土曜が誕生日だな」という意識自体はあって、よさげな肉とかケーキとかを準備していたのだけど、昨日の夜にはそんなことすっかり忘れていたし気がついたら床で寝ていた。

 24歳のぼくは、とりあえず大学院に進学したはいいものの、あいかわらず何もできないでいる。専攻で自分がいちばん出来が悪いんだろうなという確信と、何なら学部生よりも能力が低いんだろうという予期が交互に頭を占拠している今。大学院に「偏差値」なんて概念を持ち込むことの是非はあるけど、ぼくの出身学部は、今の大学院よりも数段偏差値の低い場所だったし(出身学科の偏差値として1番低く出ているものと、所属している専攻が接続している学科の偏差値を調べてみたら15くらい差があった)。学部の教育を受けて、さすがにコンプレックスのようなものはないけれど、それでも不安は晴れない。

 

 米津玄師は24歳になる年に『Bremen』を出してるし、常田大希は『http://』を出してる。東浩紀は「批評空間」に連載を持っていたし、冨樫義博は『幽☆遊☆白書』を連載し始め、庵野秀明ナウシカに参加していた。24歳というのはそういう年齢なんだ。

 各界のトップ・プロを羅列して自己卑下する傲慢さをもっているから、ぼくはずっと苦しいんだと思うけど、何もしないで辛さに喘ぐのは、何かして自分の無能力を自覚したくないからなんだろうな。手を動かさずに恨言を吐き散らすしかできないので。

 このままゆるやかに死んでいくだけなので、どうか許してほしい。