じっとりと吹き抜ける衝撃に揺れる

 自分にとって大きな存在が--その質的量的な具合には関わらず--何らかの変容をすると、関係の糸が揺さぶられる。自分は何も変わっていない/変われていないのに、周囲はとてつもない勢いで変化していく。その度に揺さぶられて、切断されないまでも限りなく見えなくなる糸をぼくは泣きそうな目で見つめることしかできない。

 変われない自分への苛立ちや焦燥と、変わってしまった人びとへの憧憬と勝手な失望が組み合わさって自己憐憫と自己嫌悪とになって首を絞めてくる。やがて糸が増えることは少なくなり、切断の回数が増加するだろう。見えなくなった無数の糸たちを必死で手繰り寄せようとしていることは、実は虚空を掴んでいることなのかもしれない。もしかしたらそんな切実さも失われていて、透明になっていく糸を「興味ないよ」と自分に言い聞かせながら、諦念と共に目の端で捉えているのかもしれない。同時に複数の態度で接してしまう欺瞞。

 進んでいくにせよ、戻るにせよ、留まるにせよ、やめてしまうにせよ。脳内の糸を介してぼくが決めて、神経に伝えていかなければならない。